日本初「金融業界を牛耳った男」
2023年01月21日
コハルストックの河端です。
NHK大河ドラマでも、家康が主人公となったためか、歴史コンテンツが賑わっていますが、今回のコハルブログは「歴史こぼれ話」としまして、お金と歴史を絡めたお話を一つ・・・。
お前ら、その山から動くんじゃない・・・
ワシが欲しいのはお前らの
土地なんかじゃない
「石見銀山だ」
1600年10月21日、場所は・・・関ケ原の合戦場です。
ここにおわすは・・・徳川家康。え?展開早くないですか?
随分と余裕があるように見えますね、家康様。
どうも、桃配山に陣取った家康は、敵軍(西軍)についた毛利家が動かないことはわかっていたようです。
毛利家が陣取った山は「南宮山(なんぐうさん)」。
西軍についた毛利家は言ってしまえば、数は多いが「中途半端集団」
家康が嫌いで西軍についたが、西軍が勝つとも思っていません。
特に真正面から戦うことはしない、いわゆる「日和見作戦」をとっています。
それはなぜか・・・?
おや?家康様が手招きしてますね。
自ら解説していただけるようです。ぜひお聞かせ願いますか?
え?大きい声で言えないって?耳をかせとな?

「毛利くんたちが西軍についたのは仕方ないけど、戦闘に参加しなければ、勝った後でもお咎めなし!
特に攻めることも、領土をとりあげたりしないよーーーん。
今のまんまで保全してあげるよん!(大うそだけどね・・・)。
だから動かないでね!」ってね。
なんとも、腹黒い密約ですね!

頭キレキレで、謀略大好き、人裏切らせんのは天才的!あんな奴と闘わなくてよかった・・ホッ。
おまけに息子3人も「できるガキ3人衆」で
毛利隆元、小早川隆景、吉川元春
3人の息子が有名な「毛利家3本の矢」
1本だと折れにくいけど3本あれば大丈夫!
3人協力し合い毛利家を支えていく!なんだか凄いが・・・。
でももう「すでに3本とも折れている」んだよーん!!はっはっは!
え?どういうことでしょう?折れてる?
ええと・・・たしか3人は・・・。

戦国大名でここまで歴戦を勝ち残って生きているのはワシだけっ!
ワシの時代だよ―――ん。
確かに!ウィキペディアでも、没年はそうなっていますね!

・元就の孫のボンボン
・坊主と小早川の養子のアホ息子
が、バラバラでまとまりがない中、関ケ原にいるだけなんだよ・・・。
そしてその小早川のアホ息子に裏切らせるように脅してあるから!!
たぶんあいつ、西軍を裏切ると思うよ!
さあそろそろ決戦が・・・。
「カーーーーンッ」
あれ?家康様、これは約定音・・・?
まあいいか・・・。
ドッカーン!!!!

最初は、やばかったけど・・・作戦通りワシの勝ち!!
毛利くんたちは逃げてしまいました!
え?毛利君から謝罪文??
「いいよいいよ許してあげる。主君の命とある程度の領地は残してあげるよ!だってワシ、優しいから!!」
さすがは家康様、寛大ですね。

島根にある「石見銀山」だけは、すぐよこせ。
え?!急にダークサイドの部分が出ましたね家康様・・・。

勝てないよワシには!!
早く石見銀山をよこしなさい!!
よこせ!
よこせ!!
よこせ!!!
あ、圧が怖い・・・。

これが日本史上初めて「一人の男が金融業界を牛耳ることに成功した瞬間」なのだ!
ワシこと家康は知っていたんだよ。「金融」を支配する奴が最も強い人間だということを。
織田信長も「銭」を中心に全国各地に勢力を広めていった。
家康の祖父も、親父も「銭つかまされた奴」に殺された。
自分も小さいころ義理のじいちゃんに「銭で」売られた。
ワシは知っている。あれほど怖いもんはない・・・あれは人の心を変える。
幼少期から、ご苦労なさってますものね。

ワシが元締めとなればいいだけのこと!!
一番恐いのが「金融」ならワシが牛耳ればいいだけ!!
そう江戸幕府が管轄して。他の大名には持たせなければいいのだ!!はっはっは
たしかに・・・戦国時代の金融や通貨はスポット浴びていないが、戦国時代は貨幣の統一はなかったはず。
その土地土地で、銀や金を物々交換などで使用していたのが、メインでしたもんね。

あまり知られていないが、江戸時代の主要通貨は小判で「金」とのイメージがるだろうけど、実は違うの。
ほとんどのメイン貨幣は「銀」。
もちろん産出量が金と銀ではけた違いに「銀」の方が多いから、江戸時代の通貨のメインは「銀」だったってわけ。
ワシ、全国の所領の銀と金を集めて、統一通貨を作ろうとしたの。
江戸時代の貨幣は金貨(小判)、銀貨、銭の3種からなり、
金貨と銀貨は個数での兌換、銭は重さでの兌換。
しかも金貨(小判)も金だけでなく「銀交じりの金貨」
そうそしてこれを全国にてある程度統一すれば、経済をコントロールできる!
だって産出元の金山銀山、全部抑えちゃえば、何をしようが金融は思いのまま!!
さすがは家康様、先見の明がありますね!

「え?佐渡で金山が見つかった??佐渡で『佐渡金山』という金脈が見つかった」って連絡キター!!!
偶然っておそろしい・・・ラッキー!!
ね、ね、もしかしてワシ「持ってる男!?」
は、はい。そうですね。
このタイミングでのこの強運、恐ろしく「持って」いますね・・・。

これが決定打となったんだよ!!
いわゆる現在でいう
・日銀
・大蔵大臣
・総理大臣
そして・・・
・銀山、金山土地所有者!
ワシ最強!!貨幣の元締めとなれば怖いもんはない!!!
家康様自ら、ノリノリでの解説ありがとうございました。
さて、江戸時代に徳川家康は日本初の通貨という概念を定着させていく礎を作ります。
この男は知っていたのでした。金融を支配する奴が最強ということを。徳川幕府が260年も続いた理由はここにあるのでしょう。
銀山金山を支配することにより、経済の根幹を自分たちでコントロールできたのです。
徳川家康が肌感覚で知っていたのだ。「金融を制するものは世の中制す!!」
この時代の侍には考えもつかない発想です。
しかし家康は知っていました。
織田も豊臣も軍隊の力の源は、強い兵隊ではなく「カネ」であったことを。
信長は
・カネで常設軍隊を作った
・カネで鉄砲を大量に購入した
秀吉は
・カネの力で全国統一した
家康は
・カネ(金融)の力で全国に経済的礎をつくって、幕藩体制を保持して戦乱をなくさせた
不思議ではないでしょうか?
戦国時代は各地で闘いの日々であったが、江戸時代になるとパタッとみんな闘いを止めたのです。
あれだけ毎日毎日殺し合いをしていたのに・・・。
理由の一つが、家康が「金融を牛耳り、全国規模での統一を、何とか成し遂げた」から。
金融を統一安定させることにより
・権力を集中
・他の大名の力をそぎ落とす
これで、戦乱がなくなり「平民の安全」を確保したのでした。
人を殺すこともできれば、安全な日々をももたらすことのできる「金融」は、社会的にとてつもない力を持つものなのです。
それを知っていたのが徳川家康。
戦国時代はこの男が終わらせたのです。