史上空前のスーパートレードかました、三菱グループの創始者 ~岩崎弥太郎伝6~
2020年12月12日
コハルストック講師の河端です。
いつもトレードの話ですが、本日は気分転換に
カブックス通信番外編を書きたいと思います。
今日は三菱グループの創始者
岩崎弥太郎の生涯 パート6です。
大阪土佐商会がつぶれ、リストラされた岩崎弥太郎であるが
この男の経験値や、実力は本物になりつつあった。
岩崎弥太郎・・・人生に何度もピンチを迎えたが、
そのたびに
這い上がってきた・・。そして今回はこの男
人生をかけたスーパートレードを狙うのである。
相場の格言に「人と反対方向に行け」とあるが
弥太郎が狙ったのは『藩札』である。
前回も言った通り、明治維新が起こり
明治政府は「廃藩置県」をおこなう
要するに中央集権国家を作るため
全国各藩の取り潰しを行い「藩」→「県」を置いた。
『藩札』とは江戸時代に全国各藩が独自に
発行していた紙幣。
いまでいう債権である。
各藩がそれぞれ発行していた債権であるが
江戸時代、発行元の藩が取り潰し ということになれば
藩札の価値がなくなり
藩札は紙くずになる・・・。いわゆる「不良債権」
そして
今回は全国の藩がなくなる・・。
「藩札」持っている町人や商人たちは
たまったもんではない。
当然藩札を金銀に変えようと
取次騒ぎが全国でおこっていた。
弥太郎はここに目を付けた。
これまでのネットワークで「藩札」を
明治政府が買い取る
との情報を手に入れていたようであるが・・。
が が が どうなるかはわからない・・。
あくまで不確定情報である・・。
時代を読み、政府の動きを予想しなければ
ならない
そして
弥太郎は「藩札」を明治政府が買い取ることに
すべてをかけるのである。
時代の波か、この男の勘か、
一世一代の勝負をかける!!
まず、資金調達のため、豪商であった
三野村利左エ門に金を借りに行く
三野村利左エ門・・この男も本物の男である。
弥太郎「十万両貸してくれ」
利左衛門「そんな大金何する気だ」
弥太郎「それは言えん」
利左衛門「担保は?」
弥太郎「俺の顔だ」
利左衛門「わかったお前が本気で言うなら、
十万両ではなかろう 二十万両貸してやろう。」
ってなわけで弥太郎二十万両を借入れ、
この男、大暴落中の「藩札」買いたたくのである
町民や農民は 我先よとばかりに、暴落している「藩札」売りに出る
弥太郎はそれを買い叩く! 買い叩く! 買い叩く!
とうとう二十万両分で四十万両分の「藩札」買うのである。
さあ、勝負 明治政府がどう出るか・・
もし明治政府が「藩札」買いとらなかったら
地獄行きである。
「ここで歴史上の疑問がある」
明治維新の大目玉は「廃藩置県」「四民平等」
「近代国家の樹立」であるが
要するにこれまで支配者層だった武士階級を消滅させ
各藩のお殿様の持ち物だった、「土地」や「民」を取り上げる。
しかもこれまで、がちがちだった身分差別すらなくし
既得権益ごっそり持っていく
というものである。
考えてみれば、これまでの支配者層からの大規模な反乱がおきても不思議ではない。
へたすりゃフランス革命以上の
血みどろの争うになってもおかしくない・・。
しかし振り返ってみると 全国規模の反乱は起こらなかった
士族の反乱「西南戦争」はおこったが、それだけである
しかも維新の戦勝者である「薩摩藩の武士」がおこしたものである。
これは世界史にみても稀有なものだといえる。
「なぜ大規模な戦乱が起こらなかったのか・・・」
一つの答えとして「各藩の借金を明治政府が肩代わり」したのである。
実は幕末の各藩は借金だらけ、どん底の財政難でもう首が回らなかった。
簡単に言えば、各藩の不良債権である「藩札」を
明治政府が正統な値段で買いとったのである。
借金肩代わりしてやる代わりに
藩は無くなる・・。各藩お殿様もう首を縦に振るしかない状況であったのである。
明治政府は各藩の「藩札」買い取ることを決定!!
岩崎弥太郎一世一代の大勝負に勝つ!
大どんでん返しである!!!
「史上空前のスーパートレード」をしたのである。
勝ち取った金でこの男は
土佐藩の所有物をどんどん 買い取る!
船、鉱山、炭鉱
そして九十九商会(土佐商会)を買い取り、「三菱商会」と命名
ここに「三菱」が誕生する!!
とんでもないことが起きちまった!!
なんとなんと、きたねー地下浪人が殿様の所有物を
金で買うのである!
今の令和の世でも
「今は時代が変化が激しい」という人がいるが
大間違いである。
この時代ほど時代が変化した時期はない!
これは間違いなく言えることだが、明治維新がなければ
この男は一生汚い地下浪人で終わっていただろう
なんという時代の変化、時代の波!
そして岩崎弥太郎 三菱商会のトップとして
この時代に大きく乗り出すのである!
土佐の汚ねー地下浪人が 土佐藩の山之内家を食い破るのである!!
やっちまったぜ 岩崎弥太郎!!
とうとう本当にやっちまったこの男!
次回 三菱トップのこの男が 日本の大海原に乗り出していきます